昨日の昼前、買い物に行こうと自転車を漕ぎ出したら、か細い猫の鳴き声が聞こえくる・・・・。
どこで鳴いているんだろうかと目を凝らしたら、小さな薄茶色の塊がもぞっと動き出した。
それは生まれて間もない子猫だった。
自転車から降りておいでおいでしたら、よろよろとワシの方に近付いてきた。
カラスから突つかれたのか、頭を少し怪我している。
「おまえ、捨てられたのか」
「みゃあ」
「ひとりぽっちか」
「みゃあ」
子猫のうるんだ目に、思わず熱いものがこみ上げてきたワシ。
「そこで待ってろ、ミルク飲ましてあげるから」
「みゃあ」
スーパーで牛乳を買い、息せき切って戻ってきたら、子猫の姿はなかった。
周りは藪なので、きっとその中に逃げ込んでいるに違いないと、探したけれど見つからなかった。
借家住まいだから猫は飼えない、留守がちだから面倒見れない、いずれは島を出なきゃならない・・・・。そんなことを考えて、あきらめようとした。
けれども、あの弱った姿は助けてあげないと命が危ないと思った。
元気になるまで少しの間だけでも面倒見てあげて、それから里親を探してやる方法もある。
ご近所さんにも子猫がいたことを伝えて、ワシは夕方から仕事に出た。
―――今日、仕事から帰ってきて探してみたものの、まだ見つからない。
通りがかりの誰かが見つけて保護してくれてたらいいが・・・・。