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湯楽庵的日常

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昔、TVで「家相診断」というのがありました

ずっと前、川崎敬三司会のアフタヌーンショーという番組がありました。曜日ごとに特集企画があり、ワシは山本耕一氏の『事件レポート』(火曜日)と、鶴野晴山氏の『家相診断』(木曜日)が好きでした。

『事件レポート』は、川崎さんと山本さんのかいあいを、ザ・ぼんちのおさむちゃんがマネて一世を風靡しましたが、覚えてますか?

で、『家相診断』といえば、身内が立て続けに事故に遭ったり、病で倒れるなど、不幸のどん底にある相談者の手紙で始まります。
そして、相談者の家系図と災難の数々が披露されて、おもむろに間取り図が登場するわけです。
「この家はどうなんでしょうか」と川崎さんが聞けば、「大いに問題アリです」と鶴野センセイ。

---いよいよ現場のVTRです。
おどろおどろしいBGM。
家主(多くの場合、ダンナは入院中で奥さんが対応)が鶴野センセイとスタッフを不安げに迎えます。
玄関に入るや否や、「うーむ、この家には何かいる」と鶴野センセイ、いきなりぶちかましてくれます。
その後、やれ玄関や便所の位置がどうの、台所や風呂といった水場がどうのと、その場で問題点を指摘する。わしはドキドキしながらTVに釘付けでしたなぁ。そういえば、小学生にして「鬼門」や「裏鬼門」という用語を覚えたのは、この番組のおかげです(笑)。

で、VTRが終わって、間取り図をもとに「診断」します。
「なるほど」と深くうなずく川崎さん。ワシも川崎さんに同じ。
しかし、鶴野センセイは低い声で、「実をいうと、これだけでは説明がつかないんです」
おおおっ、まだ何かあるのかぁ、この家は!

---再び、現場へ
なぜか家の外をつぶさに見て回ります。すると、庭の植え込みのなかから石碑のようなものが・・・・。「ん? これは何でしょうか」と、鶴野センセイが険しい表情に変わります。
最初から見つけとかんかい!と、ツッコミを入れたくなりますが、こういう演出なんですね。
で、センセイは最後に、「これをきちんとお祓いしたら、ご主人の病気は良くなるでしょう」

なんで、アフタヌーンショーの話題なのかというと、さっきまで本棚を整理していたら、建築家の故 清家 清氏の著書『家相の科学』(光文社刊)が目に留まったので、思い出したというわけです。

さてさて、現在は家相よりも風水の方がポピュラーですな。ただ、「西の方角に○○○を置きなさい」みたいな怪しげな内容を見ると、不安心理につけこんだ金儲けではないのかと勘繰ってしまうのはワシだけでしょうか。
もちろん、家相や風水を信じる信じないは個人の自由です。
ちなみに湯楽庵は家相などまったく参考にしていません。ワシはそれでいいと思っています。
ワシの知人なんか、親が勝手に設計図を“家相に詳しい”ヒトに見せてしまい、あれこれ言われて困ったそうです。

家相(もしくは風水)にもちゃんと科学的に説明できる事柄は多いのですが、その辺のところは前述の清家氏の『家相の科学』がわかりやすい。
低俗なTV番組の話題の中で、氏の高尚な本を紹介するのは気が引けますが、ワシのいちばん好きな文章を引用します。

『私が住宅の設計をするとき、とくに家相にとらわれているわけではありませんが、出来上がってみると、家相の掟によく合っているところが多いのに驚きます。日本の風土を生かした古人の知恵は侮りがたいものです。と言っても、私自身の家には家相に合っていない個所がいくつもあります。吉凶相半ば、です。
家相の「相」は、物理化学の用語でもあり、相律という言葉があります。一つの秩序と考えてよいでしょう。古い家相の本にも「吉凶中半するがいい」とあります。家相は古い時代の建築基準法だと思えばいいので、建築基準法がよけいなところまで規制して有難迷惑な部分があるように、家相にこだわりすぎると、本末転倒、かえって住みにくい家になってしまいます。』

by yurakuan | 2005-05-25 21:36 | 住まい